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People Analytics Forum 2017参加レポート

HAT Labの入江です。

今回は、2017年11月29日~30日に参加したPeople Analytics Forum 2017で、私が学んだことを紹介します。

ちなみに、People AnalyticsはHR Analyticsの類語で、「人事領域でのデータ活用」を意味する言葉です。

People Analytics Forumとは


ロンドンで開催される、ヨーロッパで最大級のPeople Analyticsのイベントです。Tucana社によって運営されており、11月にはPeople Analytics Forum、4月にはPeople Analytics Worldが2016年より開催されています。それぞれのイベントの今後の開催時期などは、こちらをご覧ください。

参加者は、企業で人事に携わる実務家、人事関連のベンダーやコンサルタント、研究者などで、300名ほどでした。肩書きに、People Analytics、HR Analytics、Workforce Planningなどがついている方も多く、日本と比較し、人事領域でのデータ活用が専門領域として確立されていることを実感しました。

*著者撮影

なお、イベント全体のコーディネーターはIBM社のGlobal Director People AnalyticsのDavid Green氏が務めていました。また、話題提供者には、事例企業としてUnilever社やMERCK社などのグローバル企業、サービス提供者としてDeloitte社やSAP社などのビッグ・ベンダーも顔を並べており、力の入ったイベントでした。なお、日本からの参加者は私を含め2名でした。

シンプルな分析も有効


では、そこで紹介されていた事例は、高度なテクノロジーや統計解析が用いられているものばかりだったのでしょうか。

実は、必ずしもそうではありませんでした。たとえば、企業向けの人事データ活用を行うMcBassi & CompanyのLaurie Bassi氏からは、以下の図のような「営業職を対象とした、従業員満足度調査の結果と、業績との相関分析」など、シンプルな統計解析を用いた事例も紹介されていました。

*Laurie Bassi氏のプレゼンテーションをもとに、著者が作成したイメージ図

このような分析、図表化だけでも、特に手を打たなくてはならない課題が何かを選定する上では、たしかに有用です。図の例の場合、業績との相関が高く、満足度調査の得点が低い赤い点に該当することは、優先的に手を打つべきことと考えることができます。

「多様で大量のデータをいきなり集めようと思っても、なかなか終わらない。だから、ターゲットを定め、必要最低限のデータを集め、まずはシンプルな分析からはじめるのが大切」という話もなされていました。

企業の規模にもよりますが、たしかに従業員数の少ない企業であれば、シンプルな統計解析で十分なケースも多いと思います。また、従業員数の多い企業であっても、人事データがウェブサイトのアクセス履歴のようにビッグデータとなっている企業は少ないと思います。そうであれば、やはりシンプルな分析でできることがたくさんあると思います。

そう考えると私たちも、企業の人事担当者の方向けには、まずは「シンプルな分析事例」を、あらためて紹介していきたいと思いました。

高度な技術を活用したベンダー


もちろん、多種・大量な人事データを持つ企業もあるので、主に大企業向けのHR Techサービスとして、高度な技術を活用したものもあります。会場内のブースでも、以下の図のような、さまざまな人事データを統合し機械学習によって離職リスクの予測をする機能などが搭載されたVisier社Qlearsite社のサービスが紹介されていました。

*著者が作成したイメージ図

また、Zyvo社のように、

  • 神経ゲームアセスメントという「ゲーム」によって行動特徴を把握
  • 項目反応理論を用いた適応型アセスメントでアセスメントを効率化
  • アセスメント結果と入社後のパフォーマンスを機械学習し、求職者のパフォーマンスを予測

と、技術のオンパレードのサービスを提供している企業もありました。

個人的には、アセスメントの開発をしていた経験があるので、Zyvo社の今後の展開が楽しみです。

高度な技術を活用した企業事例


もちろん、ベンダーにとどまらず、社内で先進的なデータ活用に取り組んでいる企業もありました。

たとえば、Unilever社からは、従業員の感情状態を、定量的なアンケートで把握すると共に、社内SNSの従業員の声を感情分析(Sentiment Analysis)して把握しているという紹介がありました。また、Salesforce社からは、新規入社者の社内での情報検索履歴の分析をし、よく検索される情報を新規入社者に伝えるなどして定着支援をしているという紹介がありました。

これらは、マーケティングや検索エンジンなどで使われている技術の、人事領域での応用可能性を感じる事例でした。

まとめ


User Experience(UX)やCustomer Experienceなど、「経験」が最近では着目されています。今回のPeople Analytics Forumでよく耳にしたのは、「Employee Experience = 従業員経験」です。「人事業務の効率化」「人事業務の成果向上」のためだけでなく、「従業員、働く人々の経験の質を高める」ための人事データ活用という視点が大切だということを、改めて意識させてくれる場でした。

私たちも、人事領域以外で活用されている技術の応用可能性も考えながら、「個と組織の無限の可能性を解放する」ためのチャレンジをこれから行っていきたいと思います。